ターボ分子ポンプ内の3次元ガス流れ解析

計算条件

動翼と静翼が交互に多段組合わされて構成されているターボ分子ポンプの、 動翼と静翼の組み合わせ一段分を取り出して解析します。 翼は半径 100mm, 回転数 50000rpm としました。 排気側を3Pa とし、吸気側から 500sccm の流量でガスを流します。 ターボ分子ポンプ内のガス流れを解析するためには、次の効果を取り入れて計算する必要があると考えられます。
  1. 動翼に衝突した分子が、動翼から運動量をもらう効果
  2. 動翼が回転し,分子との位置関係が時々刻々変化する効果
  3. 動翼と静翼の位置関係が時々刻々変化する効果
今回は 1 と 2 の効果のみを取り入れて計算を行いました。

計算結果

  • モデル図。上側が動翼、下側が静翼。上側が吸気側、下側が排気側。

    モデル図。上側が動翼、下側が静翼。上側が吸気側、下側が排気側。

  • 吸気側圧力分布

  • 排気側圧力分布

    排気側圧力分布

  • 横からみた圧力分布。動翼によりガスが圧縮され、排気側の方が圧力が高くなっていることが分かる。

    横からみた圧力分布。動翼によりガスが圧縮され、排気側の方が圧力が高くなっていることが分かる。

  • 動翼領域の平均速度分布。非常に速い。

    動翼領域の平均速度分布。非常に速い。

  • 排気側境界付近の平均速度分布。

    排気側境界付近の平均速度分布。

動翼を考慮に入れて解析するため、一般的に非常に難しい、移動境界を含む問題を取り扱うことになります。粒子モデルの性質を生かし、固定メッシュを使いながら実質的に回転移動境界を含む問題を計算する手法を開発しました。

一様分布の初期条件から計算を開始し、2msec 程度で定常状態に達しました。2msec を計算するのにかかる計算時間は、Intel Xeon E5507@2.27GHz の計算機で5時間程度でした。